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2020年10月
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2018年度;修士論文概要

*修士論文発表会は2/7(金) 11:30から杉浦ホールで行われました。

ヒト胚子期における腎小体形成と集合管系形成の関連性

北沢 遥

 

【背景】腎小体形成と集合管系(Urinary Collecting Tree; UCT)の形成は相互作用を及ぼしながら起きる。UCTの分岐形成と腎小体の形成との関連についてはまだ詳細な検討はなされていない。

【対象と方法】京都大学大学院医学研究科附属先天異常標本解析センター所有の正常ヒト胚子標本の連続組織切片36個体(Carnegie Stage19~23)をデジタル化し、UCTを三次元再構築した。腎小体を組織切片上で5つの分化段階(Phase.1~5、以下Ph.と示す)に分類した。腎小体の出現とUCTの枝数の関係、2)腎小体の分化段階と腎臓内の立体的分布、3)各CSにおけるUCTの分岐形成、4)腎小体が結合するUCTの枝と結合による分岐次数への影響、5)各分化段階の腎小体と腎小体が結合する枝との関係について定性的・定量的検討を行った。

【結果】1)分化段階ごとの腎小体の出現傾向を理解するための検討を行った。CSの進行に従い総腎小体数と分化が進んだ腎小体の割合が増えた。総腎小体数とUCTの枝総数は強い正の相関がみられた。

2)分化段階ごとの腎小体の立体的分布の変化を知るための検討を行った。CS19~23でPh.1, 2は腎臓の表層部に多く分布し、Ph.3はPh.1よりも腎臓の内側に、分化が進んだPh.4、5はさらに腎臓内部に集中する傾向があった。腎小体の分布を示す2点の定量的検討を行った。①腎小体(RC)から腎小体とUCTの結合点(AP)の距離(RC-AP)は分化段階の進行とともに有意に長くなった。②結合点はEnd Point(EP)近くに存在し、EP近くで形成された腎小体は分化段階の進行に従い有意に腎臓深部に分布した。

3)UCTの分岐を定量化し、UCTの分岐様式と二叉分岐を繰り返すIterative Bifid Branchingを比較するための検討を行った。UCTの分岐はCS19~23までそれぞれ2分岐目、4分岐目、5分岐目、5分岐目、6分岐目までIterative Bifid Branchingとほぼ同じ増加を示した。それ以降の分岐次数では増加が緩やかになった。

4)腎小体がどの分岐次数のUCTの枝への結合傾向があるかを知るため、EB総数と、非EB総数の2群を比較すると、全てのCSで2群には統計学的に有意な差がなかった。一方CSごとでPh.3~5の腎小体は有意にEBに結合した。UCTへの腎小体の結合がUCTの成長に与える影響の定量的解析を行うために、腎小体が結合しているEB(EB-AP(+))と結合していないEB(EB-AP(-))を比較した。CS22では12例中10例、CS23では10例中8例でEB-AP(+)よりもEB-AP(-)の方が平均分岐次数は有意に大きかった。UCTの分岐の停止に腎小体の結合が影響しているかどうかを確認するために、EB-AP(+)とその対側の枝の分岐次数の偏りを比較すると、対側の枝のほうがEB-AP(+)よりも分岐が進行していることがわかった。

5)UCTの二叉分岐の分岐様式を明らかにするためにCS21~23について以下の解析を行った。CS23のPh.3とPh.5の2群のみ腎小体が結合する枝(BR-AP(+))の長さが有意に増加した。UCTの第一分岐が起こる分岐点を基準点(R)とし、CS22 のPh.3とPh.5、CS23のPh.3とPh.4、Ph.3とPh.5の2群でそれぞれ結合点が有意に枝の基部に接近した。UCTの第一分岐が起こる分岐点を基準点(R)とするとBR-AP(+)のR側の枝の長さには有意な差が見られなかった。

【考察】腎小体は分化段階の進行に従い腎臓深部に分布することが明らかになった。また、腎小体はUCTのEnd Branchに有意に結合し、腎小体の結合によりUCTの分岐停止に影響を与えていることが示唆される。

 

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