2022年8月
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2021年度修士論文発表会が行われました

掛谷さん、黄さんの修士論文発表会が行われました。(2/3-2/4 杉浦ホール於)

今年度も発表者と審査委員と少人数の教員のみがホールに集まり、他の視聴者は遠隔で聴講するという形になりました。お疲れ様でした。

Return of the intestinal loop and superior mesenteric artery to the abdominal coelom after physiological umbilical herniation.

生理的臍帯ヘルニアの還納過程における3次元的解析  掛谷真樹

Fixation of the colorectum in the abdominal coelom during normal human development

ヒト胎児期における大腸の還納、固定時期の解析 黄 柔婷

 

内容を詳しく

2021年度総合医療科学コース卒業研究発表会が行われました

4回生の卒業研究発表会が、基礎系、理工系、臨床系にわかれて行われました(2022.1.26-28,杉浦ホール)。

今年も、教員数名以外は遠隔での参加の形でした。練習通り、制限時間いっぱいに発表できてよかったと思います。

発表者の皆さん、ご苦労様でした。

ヒト胎児期における手根骨の三次元的解析 石毛浩太
MRIを用いたヒト胎児の腹直筋形成過程の解析 岩佐結生
ヒト胎児期における足根骨の三次元解析 木村健太郎
ヒト胎児の主要血管径および血行動態の胎齢に伴う変化 中井 尚一
ヒト胎児期における咽頭の形態形成の観察 古田万紀子

2021年度;修士論文概要

Return of the intestinal loop and superior mesenteric artery to the abdominal coelom after physiological umbilical herniation.
生理的臍帯ヘルニアの還納過程における3次元的解析  掛谷真樹

【背景】ヒトの胎児では、発生過程で一時中腸が腹腔から臍帯内へと脱出する(生理的臍帯ヘルニア)。頭殿長(Crown Rump Length: CRL)40mm 前後に中腸は腹腔に還納するが、還納過程の中腸、特に小腸の位置、形態や還納後の位置については不明な点が多い。本研究では、腸管の詳細な還納方法を明らかにするため、小腸の還納の順序・還納方法、還納後の腸管の位置関係の変化の検討を行った。また、小腸・結腸を栄養し、その成長に大きく関係すると考えられる上腸間膜動脈(Superior mesenteric artery: SMA)の検討も行った。

【方法】ドイツゲッティンゲン大学が保管するヒト胎児標本群 Blechschmidt CollectionのうちCRL30.0-50.0mm の標本計10個体の連続組織切片をデジタル化したものから、十二指腸起始部から肛門までの腸管とSMAの立体再構成像とその中心線を作成した。この中心線をもとに腸管について1)ヘルニア還納に伴う位置変化の観察、2)臍帯輪通過時の腸管の観察と屈曲度の解析を行った。SMAの小腸枝の分岐を指標に小腸を十二指腸側から4つの領域A-Dに区分してその位置、形態変化を検討した。また、SMAについて1)ヘルニア還納に伴う形態変化の観察、2)小腸枝の長さを用いた定量的解析を行った。

【結果】腸管について:1)位置変化の観察;生理的臍帯ヘルニア期に、十二指腸側の領域Aは一部のみ脱出し、その他の3領域は全体が脱出した。還納時、回腸末端部が最後に還納し、還納後には十二指腸から順に腹腔右側から左側へと占領区域を変えて位置した。2)臍帯輪を通る腸管は全例上行脚と下行脚2本であった。また、腸管は臍帯内・腹腔内ではループ状に曲線を描いて存在するのに対し、臍帯輪を通過する時は屈曲が小さく直線的であった。SMAについて:1)ヘルニア期に広がりを見せなかった小腸枝は、還納期になると腹腔左上から右下にかけて扇状に広がった。2)第4小腸枝が最長であること、第8小腸枝までとそれ以降の小腸枝とで長さや分岐の傾向が異なった。

【結論】生理的臍帯ヘルニアの還納方法は、臍帯腔に脱出して二次腸ループを形成していた腸管が一度直線状になって臍帯輪を通過して腹腔に戻り、腹腔内で再び二次腸ループを形成するという可能性が示された。また、ヘルニア還納に伴うSMAの形態変化や、個体間で共通するSMAの小腸枝の特徴を明らかにした。

56.Kakeya M, Matsubayashi J, Kanahashi T, Männer J, Yamada S, Takakuwa T. The return process of physiological umbilical herniation in human fetuses: the possible role of the vascular tree and umbilical ring. J Anatomy 2022, in press

Fixation of the colorectum in the abdominal coelom during normal human development

ヒト胎児期における大腸の還納、固定時期の解析 黄 柔婷

【背景】ヒトの中腸は、胚子期に一時的に臍帯腔に脱出し、頭臀長(CRL) 40 mm前後に、速やかに腹腔に還納する。その後、各部位の結腸は、所定の位置に固定する。しかしながら、各部位の結腸の還納や固定過程についての記載は、まだ十分とはいえない。

【対象と方法】京都大学大学院医学研究科附属先天異常標本解析センターに保管されているヒト胚子、胎児期初期標本のMRI画像データ40例 (ヘルニア期3例;移行期12例;還納期25例, 頭殿長(CRL)=22〜225mm)を対象とした。三次元画像解析ソフトAmiraを用いて腹膜腔と後腹膜腔に位置する諸器官の立体再構成像を作成し、1)結腸の走行の変化と周辺器官の関係を観察、2)結腸直腸各領域の長さの計測3)上行結腸(AC)と下行結腸(DC)の後腹膜への固定時期とその割合、を検討した。

【結果】ヘルニア期・移行期;CRL22mmでは、中腸ループの遠位肢の形状は、尿膜管と臍帯動脈に沿って走る正中矢状面上でほぼ直線状で、横行結腸(TC)とDCとの境界となる中腸と後腸の境界が、屈曲点として検出された。CRL26.8 mmでは、​​中腸の遠位端が胃と十二指腸・空腸移行部と近接し、湾曲を形成した。CRL32mmでは、​​矢状面から左に偏位した湾曲ループがみられた。直腸(Rt)は仙骨に沿った湾曲を示した。環納期; DCとS状結腸(SC)との境界はCRL50mmからみられ、AC,TC間の境界以外は識別可能であった。AC およびTCの走行は、右腎、肝、胃、十二指腸の位置に影響された。 つまりACは回盲部から右腎に沿って腹側、頭側へ、次に肝臓下面に沿って内側に、そして膵臓、十二指腸、そして胃の大きな湾曲に沿って走行した。固定開始前のDCの長さ(CRL 62 mm未満)は約3〜5 mmで伸長はみられなかった。 CRL62 mmでDCが後腹膜に融合し始めると、DCは、固定の進行と並行して伸長した。膵結腸靭帯は、CRL62mmのサンプルで検出された。CRL75mmで横隔膜結腸靭帯、CRL97mmで脾臓結腸靭帯が確認された。CRL105mm以上の標本でTCとACの境界は十二指腸と右腎臓に近い領域で顕著になった。同時期にAC後腹膜への融合は口腔側から肛門側に進行し、ACの長さも増加した。CRL 131mmの個体では、​​ACと肝臓の間の靭帯(肝結腸靭帯)が観察された。CRL 131mmでは、​​すべてのDCが後腹膜に融合したRtはCRLが増加すると、曲率の程度は徐々に減少し、 CRL131 mmのサンプルでは、​​Rtの形状はほぼ直線状になった。SCの長さは成長に応じて直線的に増加した。 CRLが180mm未満の標本では、​​SCの走行は不規則であったが、180mmを超えると、走行はU字型になった。

結直腸の全長は、CRLの増加と強い相関がみられた。中腸(AC + TC)および後腸(DC + SC + Rt)の比率は、ほぼ一定で平均44.0±3.5%および56.0±3.5%(CRL38.5 mm以上 n=32)であった。全領域が判別可能な個体(CRL105mm<, n=11)においてAC, TC, DC, SC, Rtの比率は、15.3±6.4%、42.1±7.9%、18.6±4.0%、24.0±4.5%, 23.3±3.7%であった。TCの比率が最も大きく、次いでSCであった。 ACとDCは同様の比率を示した。

【結論】胎児期初期から中期の結腸、直腸の走行、伸長について詳細なタイムラインを作成した。結腸直腸の走行は、腎臓、肝臓、膵臓、胃・十二指腸の影響を受けた。DC, ACの後腹膜固定は領域ごとの伸長に影響を与えた。胎児期中期の各領域の割合は、報告されている成人結腸直腸における各領域の割合とほぼ同様であった。周辺器官間の靭帯をいくつか特定できたが、結腸間膜等の間膜を正確に捉えることは難しく、周辺諸器官と影響する機序は、今後の課題と考える。得られたタイムラインは、今後、胎児検診や出生前診断における画像診断の際の標準値として臨床応用が期待される。

修士論文発表会が行われました

修士論文発表会が行われました。(2/5(金)杉浦ホール於)

内容を詳しく

卒業研究発表が行われました

静脈管の形成過程

卒業研究発表が行われました(1/27(水)高井ホール)

発表者と基礎系教員が会場、他はZoom視聴という変則的な状況で行われました。

会場での発表になれていないと、Zoomのリハーサルより時間がかかってしまうようで、弊研究室は、全員時間オーバー(若干ですが)でした。

ヒト胚子期・胎児期初期における臍帯から心臓までの短絡路の定量的形態解析 磯谷菜穂子

ヒトの胚子期・胎児期初期における上肢・下肢の位置の定量解析 熊野陽介

胎児期初期における左心房の形態形成―左心耳の形成と肺静脈が左心房に取り込まれる過程の検討 福井成美

胚子期、胎児期における小脳テントおよび周辺硬膜組織の三次元的解析 松成千恵子

ラット膝関節の発生と半月大腿靭帯の形態形成 石田かのん(青山研)

2020年度;修士論文概要

ヒト胚子における大脳層構造の初期発生  寺島芽衣
The early development of the cortical layers in human embryonic brain.
【背景】大脳新皮質の正常発生に関わると言われているサブプレート(SP)は皮質板(CP)とともにカーネギーステージ(CS)21に形成が開始する。SPの欠如は統合失調症等の発達異常に関わるとも報告されているが、成人では消失しているとされる。この過程について形成初期の組織観察や胎児期におけるMRI画像を用いた三次元的解析は行われているが、初期発生における詳細な三次元的検討は行われていない。本研究ではヒト胚子期終期および胎児期初期における大脳層構造の成長変化を立体化・可視化することを目的とした。
【対象と方法】京都大学大学院医学研究科附属先天異常標本解析センター所有のヒト胚子6個体(CS21~23)およびドイツ、ゲッティンゲン大学所有のヒト胎児2個体(頭殿長39mm, 64mm)の計8個体の連続組織切片をデジタル化し、層構造を中心とした大脳の立体像を作成した。この組織像・立体像をもとに大脳層構造、特にSP-IZについて1)組織観察、2)三次元的形態観察、3)立体像を用いた定量解析を行った。定量解析では厚さ、表面積、体積を用いた。今回用いたHE染色の組織像ではSPと中間層(IZ)の判別が不可能であったため、サブプレート-中間層(SP-IZ)を1つの層として解析を行った。
【結果】1)組織観察:層構造はCS21から観察され、CS22で明白に見られるようになった。胚子期において細胞密度を求めたところCPのみCS21から22にかけて密度が高くなったが、他の層は安定が見られた。また各個体において隣り合う層の細胞密度について有意差が見られた。 2)三次元的形態観察:SP-IZはCS21において側頭部の一部に存在し、CS22以降この範囲を中心とした拡大が見られた。大脳の拡大同様、CS23でSP-IZの急速な拡大が見られ、胎児期に入ると大脳全体に観察された。室間孔、下垂体を通る冠状面においてはCS22から断面上に層構造が確認できるようになり、胎児期にかけてSP-IZの厚みが増す様子が確認された。 3)立体像を用いた定量解析:(a)厚さ:SP-IZの厚さを立体的に表示し側頭部に厚い領域が集中する様子を可視化した。また各個体におけるCP, SP-IZの厚さの中央値、最大値は頭殿長に従って増加が見られた。CPよりSP-IZの方が成長速度は速く、CP, SP-IZどちらも中央値より最大値の変化の方が大きく見られた。 (b)表面積:大脳実質及びCP, SP-IZの表面積は頭殿長の2乗に比例して増加し、発生が進むにつれCP,SP-IZの面積が実質全体に広がった。 (c)体積:大脳実質及びCP, SP-IZの体積はCRLの3乗に比例した増加が見られた。 (d)左右差:CP及びSP-IZの厚さ、表面積、体積は左右同様の傾向が見られ有意差は見られなかった。
【結論】連続組織切片から大脳立体像を作成することで層構造の形成が開始される胚子期終期から胎児期初期における島皮質領域からのSP-IZの急速な成長変化を可視化し、定量的変化を明らかにした。
51. Terashima, M., Ishikawa A., Männer J., Yamada S.&Takakuwa T. (2021) Early development of the cortical layers in the human brain. Journal of Anatomy, 239, 1039–1049. https://doi.org/10.1111/joa.13488
二次口蓋癒合に伴う口鼻腔領域の形態変化:形態測定学的手法を用いた三次元解析 野原 葵

Dynamic change in oronasal region during secondary palate fusion: Three-dimensional analysis using morphometrics

【背景】口鼻腔領域は口腔、鼻腔と上顎、下顎、舌などの組織により構成される。口蓋は
Carnegie Stage(CS)17に発生し、口蓋が形成される時期に口鼻腔領域を形成する組織の長さや位置関係に著しい変化が生じることが知られているが三次元的な形態形成については詳細な解析がされていない。
【対象と方法】京都大学大学院医学研究科附属先天異常標本解析センター所有のヒト胚子、胎児期初期標本の立体情報計22例(位相CT;13例、MRI;9例)を対象とした。対象の内訳は、胚子標本がCS21~23の19個体、胎児期初期標本が頭殿長(CRL)=34~43.5mmの3個体であった。画像情報をもとに口鼻腔領域の立体像を作成し、1)口蓋癒合前後の形態変化の可視化、2)口鼻腔領域の定量的解析、3)プロクラステス変換と主成分分析を行った。
【結果】1) 口蓋癒合前後の形態変化の可視化:CRLの増加に伴い口蓋の癒合が進み口蓋の癒合点、口腔と鼻腔の接続点が後方に下がった。CS23で口蓋の形態が大きく変化した。舌とメッケル軟骨はCRLの増加に伴い前後方向に大きく伸び、形態変化も見られた。
2) 口鼻腔領域の定量的解析:口蓋癒合部分の長さ、口蓋全長、硬口蓋の長さはCRLと強い正の相関を示した(R2=0.82, 0.84, 0.79)。CS23で口蓋癒合率が30%から50%へ急激に増加した。メッケル軟骨の全長と翼突鈎間の距離、舌の奥行と幅はCRLと強い正の相関を示した(R2 = 0.92, 0.71,0.92,0.84)。舌の体積はCRL3と強い正の相関を示した(R2=0.92)。舌の高さは個体のばらつきが見られAF23では値の小さい個体も見られた。上顎に対する舌とメッケル軟骨の先端部分の位置は舌よりメッケル軟骨の成長が早かった。
3) プロクラステス変換と主成分分析:プロクラステス変換により口蓋癒合前後のshapeが明らかになった。口蓋は内側に変化し、上顎の上下方向の位置は変化しなかった。翼突鈎は
前方、内側への変化から内側のみの変化になった。メッケル軟骨は前方、内外側方向の変化を示し、shapeは湾曲から直線に変化した。舌は前方へ移動し、shapeが上方への湾曲から平坦へ変化した。鼻腔は後方、内側への移動が見られた。主成分分析より、第一主成分は、口蓋の癒合とそれに連動する動き、下顎組織の前方方向への成長、メッケル軟骨の直線化を示した。第二主成分は口蓋癒合前の口鼻腔領域後方の変化を示した。
【結論】CT、MRI画像を用いた口鼻腔領域の立体像により、口蓋癒合前後での形態変化を明確に示すことができた。また主成分分析により口蓋癒合に伴う口鼻腔領域のshapeに深い関係のある要素を抽出できた。本研究で得られた知見より、口蓋裂や口唇裂などの異常個体の解析、診断に応用できると考えられる。

57.  Nohara A, Owaki N, Matsubayashi J, Katsube M, Imai H, Yoneyama A, Yamada S, Kanahashi T, Takakuwa T. Morphometric analysis of secondary palate development in human embryos. J Anatomy, 2022, in press

ヒト胚子期・胎児期初期における喉頭軟骨・気管軟骨の3次元的解析 山崎 優

Three-dimensional analysis of the human laryngeal and tracheal cartilages during the late embryonic and early fetus period【背景】気管軟骨は気管を囲むU字型の軟骨であるが、胚子期・胎児期の形成過程について詳細は明らかではない。喉頭軟骨は発生過程について検討は進んでいるが、先行研究では、意見が分かれており明確な結論は出ていない。本研究では喉頭軟骨・気管軟骨の形態形成について、立体再構成像により明確化するとともにこれら軟骨の成長過程について、形態計測学的に検討した。

【対象と方法】京都大学大学院医学研究科附属先天異常標本解析センター所有の正常ヒト胚子15個体(CS18-23)およびGöttingen大学(ドイツ)所有の正常ヒト胎児4個体(頭殿長35mm-45mm)、計19個体を対象とした。連続組織切片画像を用いて喉頭軟骨・気管軟骨と軟骨が囲む気道部分の立体再構成像を作成し、喉頭軟骨・気管軟骨について1)組織像の観察、2)立体像の形態観察、3)定量解析を行った。定量解析では軟骨の高さ・周囲長・被覆度、気管半径を計測した。

【結果】1)組織観察:前軟骨について、気管軟骨・輪状軟骨はCS19から、甲状軟骨・舌骨はCS18の時点で形成されていた。軟骨細胞間の基質について、気管軟骨・輪状軟骨・甲状軟骨はCS20から、舌骨はCS19から分泌された。

2)形態観察:気管軟骨はCS20で急速に前軟骨が形成され、それ以降の成長段階では気管・気管支を覆う範囲に顕著な個体差はみられなかった。輪状軟骨はCS21で急速に成長し成人とほぼ同様の形態となった。甲状軟骨は上角より正中へ伸長し、胎児期初期で左右の軟骨版が癒合した。舌骨は両端より伸長し、CS19において正中で癒合した。胎児期になると正中部付近が尾側にも拡大し、正中矢状断面で観察すると”くの字”の形態を示した。

3)定量解析:(a)高さ…気管軟骨について、総気管長に対する総軟骨長の割合はCS20以降のほぼ全ての個体で一定範囲内の値となった。輪状軟骨板と甲状軟骨板は、癒合する時期は異なるが高さは両者とも胚子期で急増し胎児期で横ばいとなった。

(b)気管半径…CS20-22においてCRLの増加に伴い緩やかに増加したが、CS23は前ステージと比較し著しく増加し、CRLとの相関もみられなかった。

(c)周囲長…気管軟骨と甲状軟骨に対し、輪状軟骨は著しい増加傾向を示した。

(d)被覆度…気管軟骨はCS22を境に著増し、成人とほぼ同程度の被覆度となった。

輪状軟骨はCS20、CS21で著しく増加し、CS21で成人と同じ360°まで被覆した。

甲状軟骨はCS22、CS23で著しく増加した。

【結論】喉頭軟骨・気管軟骨の初期分化段階であるCS18から胎児期初期のCRL45㎜の喉頭軟骨/気管軟骨/喉頭腔の立体再構成像を作成し、各軟骨の発生過程を組織学的、形態学的、形態計測学的に明らかにした。

54. Yamazaki Y, Kanahashi T, Yamada S, Männer J, Takakuwa T. Three-dimensional analysis of human laryngeal and tracheobronchial cartilages during the late embryonic and early fetal period. Cells Tissues Organs, 2021 in press

藤井さんの博士審査会が行われました。

藤井さんの博士審査会が行われました。(8/5(水)10:00- 高井ホール)

The bronchial tree of the human embryo: an analysis of
variations in the bronchial segments

(ヒト胚子期の気管支樹:区域気管支の多様性の検討)

気管支の中枢部分は葉気管支と区域気管支から成るが、多くの成人肺の解剖学的研究においてこの典型的な構造から逸脱した多様な分岐構造が報告されている。これまでに気管支の多様性が生じる過程を明らかにした研究はない。本研究は、Carnegie stage (CS) 15〜23のヒト胚子標本の位相CT画像を用いて作成した気管支樹の三次元立体像に解析を加えることで、胚子期における気管支の多様性を検討した。形態観察および区域気管支までの同定をおこない、各葉の分岐次数を算出した。CS15からCS16の観察結果より、右上葉は右中葉と左上葉に遅れて形成することが示された。CS17~19において、区域気管支と亜区域気管支が、同一ステージの個体間で形成の程度にばらつきを示しながら形成していた。分岐次数は各葉にてCSの進行とともに増加した。右中葉の分岐次数の中央値は他の4葉と比較して有意に低かった。CS20~23の気管支樹における区域気管支について、全5葉にて14種類の形態を同定した。本研究にて同定した形態は、すべて成人の気管支にて報告のある形態に含まれていた。よって、区域気管支の多様な構造は胚子期に決定する可能性が示唆された。本研究は、詳細な形態変化情報と正確な分岐次数を算出することにより、これまで明らかでなかった胚子期の気管支形成について新たな知見を与えたものと考える。

 

博士号を取得して

寄稿の機会をいただきありがとうございます。2017年に京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻へ社会人博士として入学し、2020年11月に博士号を取得することができました。ここでは個人的に印象深かった出来事を著し、博士号取得の挨拶に代えさせていただきます。

初めて科学雑誌に論文を投稿したのは2019年11月、査読の返答は12月の終わり頃に届きました。査読者のコメントにより投稿内容のおよそ半分を入れ替えることとなり、査読へ対応するための原稿の修正、後輩の修士論文執筆に向けた解析の支援と、その年の年末年始は博士課程在学中でも特に充実した時間であったと記憶しています。修正原稿の投稿から約ひと月後の早朝、指導教員の簡潔な2行ほどのメールにより、受諾の知らせが届きました。簡潔な内容に驚きつつ、顔を合わせた際にはどんなありがたいお言葉をいただけるのだろうと、淡い期待を胸に、底冷え残る京都の朝、研究室へ向かいました。しかし、教授は学位申請の手続きを早めに行うよう勧めたのち、受諾論文では省いたデータを改めて論文にまとめる話を切り出されました。このとき、職業研究者というものを多少なりとも理解したように思います。

当時省いたデータは、査読にて指摘を受けた部分を補強する解析を行ってまとめ直し、こちらも論文として受諾されました。そして、現在は次の解析へと目を向けています。最後に、このように博士課程で得た成果を論文として投稿することができたのは、指導教員ならびに共同研究者の皆様のご尽力の賜物であります。この場を借りて厚く御礼申し上げます。

Fujii S, Muranaka T, Matsubayash J, Yamada S, Yoneyama A, Takakuwa T. The bronchial tree of the human embryo: an analysis of variations in the bronchial segments. J Anatomy 2020, 237, 311-322. doi: 10.1111/joa.13199.

Matsubayashi J, Okuno K, Fuji S, Ishizu K, Yamada S, Yoneyama A, Takakuwa T. Human embryonic ribs all progress through common morphological forms irrespective of their position on the axis, Dev Dyn 2019, 248, 1257-1263, doi: 10.1002/dvdy.107

Okuno K, Ishizu K, Matsubayashi J, Fujii S, Sakamoto R, Ishikawa A, Yamada S, Yoneyama A, Takakuwa T. Rib cage morphogenesis in the human embryo: A detailed three-dimensional analysis. Anat Rec 2019, 302, 2211-2223, doi: 10.1002/ar.24226

Ishiyama H, Ishikawa A, Kitazawa H, Fujii S, Matsubayashi J, Yamada S, Takakuwa T, Branching morphogenesis of the urinary collecting system in the human embryonic metanephros, PLoS ONE 13(9): e0203623. doi: 10.1371/journal.pone.0203623

2019年度;修士論文概要

*修士論文発表会は2/7(金) 11:30から杉浦ホールで行われました。

ヒト胚子期における腎小体形成と集合管系形成の関連性

北沢 遥

 

【背景】腎小体形成と集合管系(Urinary Collecting Tree; UCT)の形成は相互作用を及ぼしながら起きる。UCTの分岐形成と腎小体の形成との関連についてはまだ詳細な検討はなされていない。

【対象と方法】京都大学大学院医学研究科附属先天異常標本解析センター所有の正常ヒト胚子標本の連続組織切片36個体(Carnegie Stage19~23)をデジタル化し、UCTを三次元再構築した。腎小体を組織切片上で5つの分化段階(Phase.1~5、以下Ph.と示す)に分類した。腎小体の出現とUCTの枝数の関係、2)腎小体の分化段階と腎臓内の立体的分布、3)各CSにおけるUCTの分岐形成、4)腎小体が結合するUCTの枝と結合による分岐次数への影響、5)各分化段階の腎小体と腎小体が結合する枝との関係について定性的・定量的検討を行った。

【結果】1)分化段階ごとの腎小体の出現傾向を理解するための検討を行った。CSの進行に従い総腎小体数と分化が進んだ腎小体の割合が増えた。総腎小体数とUCTの枝総数は強い正の相関がみられた。

2)分化段階ごとの腎小体の立体的分布の変化を知るための検討を行った。CS19~23でPh.1, 2は腎臓の表層部に多く分布し、Ph.3はPh.1よりも腎臓の内側に、分化が進んだPh.4、5はさらに腎臓内部に集中する傾向があった。腎小体の分布を示す2点の定量的検討を行った。①腎小体(RC)から腎小体とUCTの結合点(AP)の距離(RC-AP)は分化段階の進行とともに有意に長くなった。②結合点はEnd Point(EP)近くに存在し、EP近くで形成された腎小体は分化段階の進行に従い有意に腎臓深部に分布した。

3)UCTの分岐を定量化し、UCTの分岐様式と二叉分岐を繰り返すIterative Bifid Branchingを比較するための検討を行った。UCTの分岐はCS19~23までそれぞれ2分岐目、4分岐目、5分岐目、5分岐目、6分岐目までIterative Bifid Branchingとほぼ同じ増加を示した。それ以降の分岐次数では増加が緩やかになった。

4)腎小体がどの分岐次数のUCTの枝への結合傾向があるかを知るため、EB総数と、非EB総数の2群を比較すると、全てのCSで2群には統計学的に有意な差がなかった。一方CSごとでPh.3~5の腎小体は有意にEBに結合した。UCTへの腎小体の結合がUCTの成長に与える影響の定量的解析を行うために、腎小体が結合しているEB(EB-AP(+))と結合していないEB(EB-AP(-))を比較した。CS22では12例中10例、CS23では10例中8例でEB-AP(+)よりもEB-AP(-)の方が平均分岐次数は有意に大きかった。UCTの分岐の停止に腎小体の結合が影響しているかどうかを確認するために、EB-AP(+)とその対側の枝の分岐次数の偏りを比較すると、対側の枝のほうがEB-AP(+)よりも分岐が進行していることがわかった。

5)UCTの二叉分岐の分岐様式を明らかにするためにCS21~23について以下の解析を行った。CS23のPh.3とPh.5の2群のみ腎小体が結合する枝(BR-AP(+))の長さが有意に増加した。UCTの第一分岐が起こる分岐点を基準点(R)とし、CS22 のPh.3とPh.5、CS23のPh.3とPh.4、Ph.3とPh.5の2群でそれぞれ結合点が有意に枝の基部に接近した。UCTの第一分岐が起こる分岐点を基準点(R)とするとBR-AP(+)のR側の枝の長さには有意な差が見られなかった。

【考察】腎小体は分化段階の進行に従い腎臓深部に分布することが明らかになった。また、腎小体はUCTのEnd Branchに有意に結合し、腎小体の結合によりUCTの分岐停止に影響を与えていることが示唆される。