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藤井助教(研究)

イメージング技術を活用して、2つの課題に取り組んでいます。
1. 先天性心疾患の心筋線維の走行解析
2. 妊娠早期における胎児循環の短絡路の血流シミュレーション

1. 先天性心疾患を有する心臓の心筋線維走行解析

ヒトの心臓の壁は、心筋細胞という筋肉が層になってできています。心筋細胞は、心室壁の内側は右らせん、真ん中は円周状、外側は左らせんを描いており、この構造があることによって全身に血液を送り出すダイナミックな動きが可能になります。

では、先天性心疾患のある心臓では、この心筋線維の方向性は健常な心臓と同じなのでしょうか?

その答えは、まだわかっていません。
先天性心疾患の中にもさまざまな種類の病気があり、その病態は多岐に亘ります。

私たちは、先天性心疾患を有する心臓標本を対象として高解像度の画像を取得し、心筋線維の方向を解析しています。 先天性心疾患の心筋線維の構造を知ることで、疾患の発生過程の解明や、血液の送り出し方への影響を解明することに貢献できます。

2. 妊娠早期における胎児循環の短絡路の血流シミュレーション

ヒトは生まれる前と後で異なる循環経路を持っています。生まれる前の循環経路を「胎児循環」といいます。母親の胎盤から供給される栄養の豊富な血液は、胎児の成長に必要不可欠なものです。

この血液が、発生のどの時期にどの臓器にどのような配分で供給されているか知ることは、発生学の観点からとても重要です。しかし、ヒトの妊娠中の胎児の血流を測るのは現在の技術では難しく、動物実験で得たデータにとどまっていますし、特に体が作られていく妊娠初期(-12週)までについては詳しくわかっていません。

この研究では、ヒトの胚子、胎児標本から得た高解像度の画像から血管と臓器を立体的に再構成して、発生段階の進行に伴う血流をシミュレーションしています。臓器の形や大きさについては、かなり正確な情報を得ることができており、多くの成果を本研究室から発表しています。

この正確な情報を利用して、今は直接調べることのできない血流を再現することで、ヒトの体がどのように成長していくか深く理解することを目指します。

Carnegie stage 15(頭殿長7.2mm, 受精後5週相当)
母親の胎盤から供給された血液が、
臍静脈を通って胚子の肝臓の内部で分配される様子を再現している。