平成29年度入試から、人間健康科学科は内部の再編、入試方式が変わることになりました(特色入試、一括入試)。ここでは、再編に伴って、私たち病理学研究室が所属することになる総合医療科学の特徴などについて、よく聞かれる質問についてお答えします。多少、個人的な意見を交えていますので、正式な説明、案内は人間健康科学科HPを御覧ください。
Q:総合医療科学とはどういう意味ですか。
A: 総合医療科学は、Multidisciplinary Sciencesと英訳します。“多くの学問領域、専門領域にわたる”“学際”という意味です。
これまで、医療を担う人材育成は病院を中心に考えられていました。専門の技能・知識を有する「医療専門職」が病気の治療には必要で、多くの医療専門職の集団を基盤として病院運営は成り立っています。しかしながら、現代社会の医療に対するニーズは病院での治療にとどまりません。従来前の医療専門職の養成のみでは、大学はニーズに応えられなくなってきました。
総合医療科学を卒業した学生の活躍する場所は病院にとどまらず、多方面に渡ると思われます。多くの学問領域との連携が必要な分野や、今現在は、存在しないような職業に就く可能性もあります。創造性にとみ、未来の医療、社会を支える人材の育成が、総合医療コースの目指すところになります。(総合医療科学について pdf)
Q:人間健康科学科に入学したら必ず資格を取らないといけないのでしょうか。
A: 必ず資格を取らないといけない、強制されるということはありません。国家資格を取得する学生は半分程度になるのではないかと考えています。半分の国家資格を取得しない学生は、基本的には病院以外での就職、活躍が見込まれます。
Q:臨床検査技師の受験資格は、なくなるのでしょうか。
A: 臨床検査技師の受験資格は、そのためのプログラムを選択することで得られます。同プログラムは2回生後期〜3回生の間に行われます。プログラム内容は、現在の検査技術科学コースとほぼ同様です。
Q;一般入試で入学した学生は本当に自由にコースを選択できるのでしょうか。
A:コースは自由に選択可能です。ただし、所定の科目の単位を取得するといった努力は当然必要です。2回生の夏休み前くらいに希望調査を行い、コース選択をします。
Q:特色入試で入学した学生と一般入試で入学した学生に違いがあるのでしょうか。
A:特色入試では、看護師、理学療法士、作業療法士という医療専門職の国家資格取得を前提に選抜される制度です。入学後に総合医療科学や他のコースへの変更は一切できません。特色入試での受験を考えておられる方はこの点注意が必要です。入学後の1,2回生のカリキュラムはごくわずか(数科目)の違いがあります。
Q: 総合医療科学コースに進学したら国家資格は取れないのでしょうか。
A: 所定の科目の単位を取得すれば臨床検査技師の受験資格が得られます。
Q;国家資格は取得した方がよいのでしょうか。
A;もし、あなたが病院で働くことを希望するのであれば必須といえます。病院は多数の医療専門職が集まって運営されているからです。病院以外での就職を考える場合は、取得した方がよいかどうかは一概には言えません。
総合医療科学コースでは医学物理士、ビッグデータ、再生医療、臨床研究デザイン等、聞きなれない分野も対象にしています。こういった新興分野は、ニーズはあるが、今すぐには病院内にポジションを確保しにくいという問題があります。こういった分野では、医療系の国家資格を持つことが病院でのポジションが得るためには必要となるでしょう。
Q; 1,2回生ではどんなことを学ぶのでしょうか。
A; 1回生では、全学共通科目という京都大学の全学生を対象にした教育プログラムとともに医学・医療に関する基礎教育プログラムを受けます。将来どのコースに進学しても必要なエッセンスを学びます。2回生では専門基礎科目という医療を学ぶ上での基礎的かつ重要な事柄を学びます。私は2回生の病理学を担当します。病理学では、病気の原因や、病気になるとどうなるのかといったことを学びます。えられた知識が次のステップ(専門分野の勉強や研究)の基盤となります。一般入試で入学した学生は専門基礎科目をある程度学んだ地点でコースを選択します。
Q; 総合人間学部との違いは何でしょうか。
A; 人間健康科学科では、医学を基盤に人間について体系的に学ぶという点でしょうか。例えば1回生で病院で医療に関する早期体験実習を行い、医療とは何かを考える機会を設ける等です。医療について理解した上で、専門職(看護師、臨床検査技師、理学療法士、作業療法士)の取得をめざすか、病院以外の活躍の場をめざすかを自分の意志で選択できます。総合人間学部については該当 HP等を御覧ください。
Q; センター試験が芳しくなかったので、京大の希望する学科から人間健康への変更を考えているのですが。
人間健康科学科は2次試験、理系科目を重視した配点になっており十分に挽回可能です。また、総合医療科学コースについていは、医療理工科学講座、生命・基礎医科学講座等、工学部や理学部、薬学部、農学部等と重複する分野について学ぶことができます。さらに、医学研究科、iPS細胞研究所、ウイルス研究所、再生医科学研究所、薬学研究科等の基礎医学的な分野とも連携して教育・研究を行いますので、みなさんの希望を十分に叶えることが出来ると思います。