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3)3次元デジタル情報の取得と解析

3次元デジタル情報の取得

立体的な情報を含んだ情報を”3次元情報”といいます。組織切片は1枚では平面ですので2次元情報ですが、連続的に切片を作成したものをデジタル化し積み上げると立体情報として扱えます。組織切片を用いた従来法の他、MR顕微鏡位相コントラストX線CT等を用いて取得した情報は立体情報を含んだデジタルデータです。私たちは、取得方法の異なる3データのそれぞれの特長を生かし、目的に応じて使い分けています。

3次元デジタル情報の特徴・課題

最新の機器を使用して撮像した高解像度の3次元デジタル情報は解析の基盤ですが、加えてデジタル情報の長所

  • 任意断面での観察、計測可能
  • 解析結果の表示、出力が多彩
  • 空間座標の取得が可能

などを利用した解析が可能です。短所として

  • 細胞・組織情報での判別ができない
  • 信号強度(密度)が近い組織間の判別が難しい
  • 組織の物性、機能、形成機序への言及に限界がある

などがあげられます。これらの短所を補うために、

  • 組織(デジタル)像との併用
  • データから得られる空間座標値を用いた多変量解析、数理的解析
  • Tractgraphy等異なる条件での撮像画像の併用

などの工夫を行っています。

3次元デジタル情報解析方法 (6M)

MR顕微鏡などを用いて取得した3次元データからソフトウエアを利用して2次元、3次元画像を取り出します。最近のパーソナルコンピューターの性能の向上は目覚しく、3次元像の作成もストレスなく行えるようになってきています。また秀逸なソフトウエアがあり、その一部はオープンソースとして無料で入手可能です。

研究室では、高解像度の立体情報の特徴を最大限に活かして解析を行っています。平面画像、立体再構成像を基盤に

  • Morphology(形態観察)
  • Morphometry(計測)
  • Model (模型作製)

を行っています。また、空間座標を取得して、

  • Movement_位置変化
  • Multivariate analysis_多変量解析
  • Mathematical analysis_数学的解析

といった発展的解析を行っています。

また、DTI-MRIを用いて、形態以外の情報(組織の性質などの情報)を取得するDTI-MRI撮像データを用いたヒト胎児期初期の研究(島根大学医学部と共同)ことも試みています。

画像処理の手法によって様々な画像を得ることができます。
a) Volume rendering法を用いた胚子全体像(メタリック調)、指先の細かいところまで忠実に再現されています(b,c)
d) Volume rendering法を用いた胚子全体像(シースルー調), 外観と内部の器官と両方をみることができます。
e) 2次元画像像で、興味のある領域(この例では肝臓)を抽出したのち3次元再構成を行ったものです。
f) 複数の器官(心、肺、肝、副腎、腎、胃)を抽出し3次元再構成を行ったものです。隣接器官との位置関係がよくわかります
g)Maximum intensity projection法を用いた胚子全体像(シースルー調), d)と同様、外観と内部の器官と両方をみることができます
h)画像f)g)を重ね合わせたもので、腹腔内での器官の位置がよくわかります。