2022年5月
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腎臓の形成

腎臓は発生過程において、前腎、中腎、後腎が形成される。

胚子期の排泄器官には前腎、中腎、後腎が順次形成される。ヒトでは前腎は痕跡的で、形成されないという説もある。中腎は胎生第4週始めころ形成され最大30対ほどになり、尿形成も胎生第7週(Carnegie stage[CS]17)ころには認められる。中腎の腎小体、中腎細管は2ヶ月末までには消失するが、排泄管、中腎傍管は生殖器の主要部分になる。

腎盂の発生として、CS14で中腎管の近くの尾部端の近くから尿管芽が生え始め7)、その先端周囲の造後腎芽体、造後腎組織とよばれる間葉細胞群と相互作用して最終的な腎である後腎を形成し始める。また後腎の内部では、中腎管から伸長した尿管芽が造後腎組織と活発な相互作用を行い、伸長・分岐を繰り返して大腎杯や小腎杯を形成し、その後さらに分岐を続けていき、最終的にヒトでは尿管芽から約15回の分岐が行われる8)。初めの3~5分岐が大腎杯(腎盤)になり、次の3~5分岐が小腎杯、腎乳頭になり、その次の6~9分岐が集合管を形成する9)

腎盂の樹状構造において、二又分岐、アーケード形成、側方分岐の3種類の分岐形成がある8)(資料1)。約15回の二又分岐が起こり、その後伸長した腎盂に数個のネフロンが誘導され、それぞれのネフロンと腎盂をつなぐ管が形成され伸長していくアーケード形成がおき、末端の腎盂の先端ではない部位が膨張し、末端の腎盂に対して両側方方向への分岐が生じる。分岐形成に加えてアーケード形成や側方分岐が起こることでネフロンが追加形成される10)。二又分岐は最初に形成され、腎盂の基本構造を構築していくため、約15回二又分岐は重要な分岐形成だと考えられる。

腎小体の分化

後腎の尿産生能を考える上で重要となるのが腎小体である。腎小体は糸球体とボーマン嚢を併せて言う呼称であるが、その発生は次のようになる。まず、CS14頃中腎管から伸びてきた尿管芽の周りを造後腎組織が取り囲む。尿管芽は膨らんで分岐を繰り返し、細管を作るたびに造後腎組織が形成される。細管はのちに集合管として機能する。ここで、6番目の分岐が起こると分岐の周囲に後腎胞が形成される。後腎胞は一層の小胞構造をとり、発生段階が進むと腎小体になる。

後腎胞は成長に従って基部が広がり陥入が起こる。CS20頃になると後腎胞はS字構造をとり、腎盂と結合する。S字構造のうち、ボーマン嚢原基の細胞は次第に扁平になる。またS字がどんどん広がって深くなる前に、原始毛細血管が形成され糸球体が観察され始める。毛細血管は発生に従い増生するので糸球体は最初円形に見えるが、次第に分葉化する。(図1、文献(2))

このように、発生段階にある腎臓では様々な発生段階の腎小体がみられる。

CS23に腎盂の拡張がみられる。

発生が進んだ腎小体はS字構造をとり、UCTへと結合する。UCTは放射状に伸長と分岐を続けるので、新しい腎小体ほど腎臓の辺縁近くに位置する2、3。胚子期末までは、集合管は最大約11回の分岐がみられ、その末端の枝1本につき1個の腎小体が結合し平均270個の腎小体が形成されている。その後、一つの枝に複数の腎小体が結合する様式になり片腎50-200万個の腎小体が形成される。個数は個人差が大きく、腎臓の予備能、腎不全の起こりやすさと関わりがある。

腎小体形成とUCTの分岐形成には以下の3つの関連性が知られている。1)造後腎組織が伸長した尿管芽の先端に集合したのち上皮化する“上皮-間葉相互作用”がみられる1, 6。2)UCTによる腎小体誘導である。HamiltonとPotterにより、分岐により新しく形成されたUCTの枝の先端は、造後腎組織から腎小体を誘導することが報告されている7、8。3)腎小体の結合によるUCTの枝の性質の変化である。Potterにより、UCTの枝は腎小体の結合がない時にだけ枝の分岐能、腎小体の誘導能を持つことが報告されている8。Al-Awqatiは、腎小体と結合したUCTの枝は更なる分岐能を失うと報告している5

腎臓の上昇・回転

腎門の向きの変化と腎臓の位置について
(A)(B)背側からみた像、(C)頭側から見た像

後腎は、CS14-16では仙骨部(S2レベル)に発生するが、骨盤部の発達に伴い、相対的に頭側に移動する。CS23ではTh12-L3の高さに位置する。

腎門はCS17では腹側を向いているが、集合管樹の分岐が立体的になるCS18間に内側を向くようになる2(図3)。また、CS17ころ両側の腎臓は左右総腸骨動脈間にある。腎臓間、腎臓と大動脈、腸骨動脈の間は数100ミクロ程度と近接しているが、物理的な距離のみでは左右腎臓の癒合(馬蹄腎)、骨盤腎は起きない。

 

 

 

膀胱

尿生殖洞の発生

胎生第7週までに後腸の排泄腔領域は尿直腸中隔によって、前方の尿生殖洞と後方の肛門直腸管に分かれる3(図4)。尿生殖洞は頭側に伸びた膀胱と尿道骨盤部、生殖結節の下部に伸びる生殖茎部からなる。膀胱は最初、尿膜と連続しているが、尿膜は徐々に腔が閉鎖して線維性索の尿膜管となる。膀胱下部にある尿道骨盤部は比較的狭い管になり、男性では尿道前立腺部と尿道隔膜部、女性では尿道隔膜部を形成する。生殖茎部は、男性では尿道陰茎部、女性では膣前庭部となる。