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胎児側脳室の形態と長さ計測の有用性(竹谷卒論) Congenit Anomに掲載

竹谷さんの卒業論文が、 Congenital Anomalies 55巻(2015)に掲載されました。

本論文の内容は第104回日本病理学会総会で発表しました。

  • 妊娠中期 (16-25週) ヒト胎児の側脳室の形成を解析
  • 16週の;側脳室の前角、中心部、後角、下角の主要4領域が区分可能。
  • 側脳室は近接する大脳の外方、内方への成長の影響を受け、主に伸長と狭小化という変化を示す。
  • 6個のパラメータ (総前後長、前後角間長、後角長、中心部の厚さ、総側脳室高、下角間長) と頭蓋横径(BPD)との関連性をsimple regression analysisを用いて検討
  • BPDと関連性の高い計測値は、総前後長、前後角間長、後角長、中心部の厚さ(R2=0.80-0.93)
  • 総側脳室高、下角間長は中等度 (R2=0.56-0.73)
  • BPDと側脳室体積とは関連性がない(R2=0.13).
  • 脳室の計測は、胎内での胎児脳の健全な成長と発生を評価する標準的手法を確立するのに寄与する可能性あり
スクリーンショット 2014-07-11 20.53.16

Taketani K, Yamada S, Uwabe C, Okada T, Togash K, Takakuwa T, Morphological features and length measurements of fetal lateral ventricles at 16–25 weeks of gestation by magnetic resonance imaging, Congenit Anom (Kyoto), 2015, 55, 99-102. doi: 10.1111/cga.12076

Abstract

Normal growth of the lateral ventricles (LVs) was characterized three-dimensionally using magnetic resonance imaging (MRI) data from 16 human fetuses at 16–25 weeks of gestation. The LV was differentiated into four primary regions, the anterior horn, central parts, posterior horn, and inferior horn, at 16 weeks of gestation. The LV changed shape mainly by elongation and narrowing, which corresponded to the external and internal growth of the surrounding cerebrum. Six length parameters measured in the LV correlated with biparietal diameter by simple regression analysis (R2 range, 0.56–0.93), which may be valuable for establishing a standardized prenatal protocol to assess fetal well-being and development across intrauterine periods. No correlation was found between biparietal diameter and LV volume (R2 = 0.13).

第5回放射光イメージング研究会

第5回放射光イメージング研究会 (3/20, 東京)で金橋くん(研究協力員)が発表しました。

ヒト胚子期における肝臓形態形成異常の解析

位相CT等の放射光を用いて様々なイメージングを行っている方々の集まりです。

 

日本科学未来館にヒト胚子立体像が常設展示

未来館

3/20から開設された日本科学未来館(東京都江東区)「生命」コーナーにヒト胚子立体像が常設されました(5年間の予定)上記展示に監修者として、協力しました。

新規展示、「細胞たち研究開発中」では、iPS細胞の発見にはじまった細胞生物学から、発生、再生医療、といった新たな研究の流れを魅力的に紹介しています。
「オピニオン・バンク」では、来場者の意見・感想を積極的に現場に還元するとりくみです。

 

基盤(S)のmeetingに参加

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次年度から分担研究者として参加する基盤研究(S)ヒト脳の形態形成から行動生成に至る発達のダイナミクスの研究会議に参加しました。分野の異なる先生の集まりで、なかなか面白い会議でした。

高石くんが優秀演題賞に選出 (28th日本軟骨代謝学会)

28回軟骨「Episcopic fluorescence image captureを用いたラット膝関節腔発生の三次元的解析」高石 亮太、青山 朋樹、張 項凱、樋口 真也、山田 重人、高桑 徹也

(第28回日本軟骨代謝学会 (H27.3.6-7)、東京)が優秀演題賞に選出されました。当日は、質疑応答も含め、立派な出来栄えでした。おめでとうございます。

ヒト胚子透過立体回転画像が知的財産に登録…

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ヒト胚子透過立体回転画像が知的財産に登録されました。おもにMRIで撮像されたCS13-23の胚子を、コンピュータを用いて立体化したものです。一部は日本科学未来館で展示される予定です。

修士論文審査が行われました

ueno

ozeki

修士論文審査が行われました。落ち着いてわかりやすく発表でき、良かったと思います。諮問も問題なく終了です。

 

 

2014年度;修士論文の概要 (尾関)

ヒト聴覚器の各発生段階の形態学的解析

CS22聴覚器
CS22 聴覚器立体像

背景:ヒトの聴覚器は、内耳、中耳、外耳に分けられる.その発生過程については、これまで組織切片を用いた観察が主体であり、立体像を用いた解析は膜迷路でしか行われていない.また、現在ヒト発生学での発生段階の指標として用いられているカーネギーステージ(Carnegie Stage(CS))分類の提唱以前に行われているものが多いため、CSに沿った報告が少ない.

目的:ヒト胚子の連続組織切片を用いて立体像を作成し、胚子期における内耳、中耳、外耳それぞれの各CSにおける形態的特徴と、相互の位置関係を明らかにする.

対象・方法:京都大学大学院医学研究科附属先天異常標本解析センターに保存されている外表の状態から正常と判断され、かつ、保存状態が良好なヒト胚子の連続組織切片17個体(聴覚器33例)を用いて聴覚器の立体像を作成し,CSごとに発生過程の観察を行った.

結果:①内耳 半規管:CS18(4個体、聴覚器8例)では、3例で半規管が全く形成されておらず、1例で後半器官のみ、1例で前半規管のみ、3例で前半規管と後半規管の2つが形成されていたが、CS19以降の個体では全例で3つ全ての半規管が観察された.蝸牛管:CS18(4個体、8例)では、6例で蝸牛管の回転は観察されず、2例で回転方向(上向き)に曲がりL字型になっていた.その後徐々に回転が進み、CS19(3個体、6例)の2例で半回転、CS20(2個体、4例)の全例で1回転、CS21(4個体、8例)の2例とCS22(3個体、5例)の全例で1回転半、CS23(1個体、2例)の全例で2回転していた.卵形嚢と球形嚢:CS22(3個体、5例)の3例とCS23(1個体、2例)の全例で球形嚢と卵形嚢を明確に区別することが可能であった.②中耳 耳小骨:アブミ骨はCS18(4個体、8例)の2例ですでに輪の形が形成されていたが、CS23までの全例でアブミ骨底が観察されなかった.ツチ骨とキヌタ骨は、CS19(3個体、6例)の4例で原基が観察でき、CS23までに成人のものとほぼ同様の形態がつくられていた.また,キヌタ・ツチ間の関節面はCS19(3個体、6例)の2例で接しており、キヌタ・アブミ間の関節面はCS21(4個体、8例)の7例で接していた.耳管:耳管は全CSの全例で正面から観察すると平たく、側面から観察すると、耳介へ向かって広がる裂隙状であった.③外耳 外表形態:Streeter G. L.による耳介の形態分類を参考に分類を行ったところ、時系列に沿った形態が観察されたが、左右で形態に差をもつ個体が6個体存在した.④相互関係 耳小骨と内耳:側面から観察した際、CS20までは全例とも、耳小骨が蝸牛管の回転始起部付近で前後方向にずれて存在していたが、発達段階が進むにつれて徐々に近づき、CS22以降の全例で、耳小骨が前庭付近で互いに重なり合って存在していた.CS23では、全例でアブミ骨が球形嚢部分に接していた.耳管と外耳道:CS19では耳管に対して低い位置に存在する外耳道が,発達段階が進むにつれて徐々に耳管に接近していた.

結論:本研究で,CS18からCS23までの聴覚器の立体像を作成し,各CSのそれぞれの発生過程と相互関係が明らかになった.今回,正常個体の発生過程が明らかになったことにより,先天的な聴覚器の異常の早期発見につながることが期待される

21. Ozeki-Sato M, Yamada S, Uwabe C, Ishizu K, Takakuwa T, Correlation of external ear auricle formation with staging of human embryos, Congenit Anom (Kyoto) 56, 86-90, 2016, DOI: 10.1111/cga.12140,  (概要) (外耳形態の部分)

26. Ozeki-Satoh M, Ishikawa A, Yamada S, Uwabe C, Takakuwa T. Morphogenesis of the Middle Ear Ossicles and Spatial Relationships with the External and Inner Ears during the Embryonic Period, Anat Rec (Hoboken) 299:1325–1337, 2016, DOI 10.1002/ar.23457, (概要) (中耳骨の形成と内耳・外耳・耳管との空間的関連性)