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病院などで臨床検査技師として働いている方の受験について

人間健康科学系専攻は、医療職の分野に貢献することが重要な使命の一つになっています。そのため、同分野で働いている方々が大学院に入学しやすいようないくつかの制度があります。

■ 修士課程

社会人特別選抜制度:入学時で3年以上(但し、看護科学コースの 志願者は5年以上)の志望分野に関連する医療実務経験を有する者については、申請時の手続きにより、試験の配点が変更できます。(2023年度入試より配点が変更になっています)

一 般 選 抜: 外国語(英語)100点、専門100点 、社会人特別選抜: 外国語(英語)100 点、専門 200 点

■ 博士課程

修士学位を取得していなくても、卒後の経歴(おもに研究活動)の内容によっては受験が可能になることがあります。(資格審査があります)

仕事をやめなくても博士課程に入学 できる可能性があります。

ご興味のある方は御連絡ください。

医学研究科HP内の案内ページ>>(外部リンク)

 

Zieglerモデル(胚子立体モデルの歴史)

19世紀末から20世紀初頭、ヒトの発生が記述されるようになると、複雑な変化を理解するため、また得られた情報を広める手段として立体モデルは自然の成り行きとして登場して来ました。その原型は発生学者によって作られましたが、より専門技術を持つ”modeler”に立体モデルの作成は任されるようになります。多くのmodellerが活躍しましたが、その中でZiegler親子が作成したモデル群は、科学的な根拠に裏付けられた一方、芸術的でもありかつ堅牢なもので多くの支持を得ました。Zieglerのモデルの多くはHisの観察データをもとに作成されており、モデルの説明には、”nach His”と書かれています。1893年シカゴで行われた博覧会に出展されたモデル群は、まさに人類の誕生、進化を可視的に体現したものとして賞賛を受けました。

当時2次元の情報を3次元にかつ拡大する技術は容易ではありませんでした。Ziegler はそれをFree handで職人技として行いました。それは隅々までの解剖学的な理解と芸術的な精巧さが必要でした。彼はノギスで測定しヘラやスプーンを用いてひとつひとつ微調整を繰り返し、作品を作り上げて行ったのです。小さな平面上の情報を立体可視化したそのインパクトは相当なものだったと思われます。Zieglerはその息子とともに工房を南ドイツFreiburgに設立しました。その小さな兄弟会社は、半世紀の間の活動中に、多数の有名な模型を世に送りました。

モデルの作製法は技術革新がありました。ミクロトームを用いた連続組織切片を元に1断面づつの平板を作成して積み上げて行く方法(stacked plate method)が、Born G(1851-2000)らによって行われるようになると、作製法は平易で、早く安く客観的になり、モデル作成の間では標準的な方法になりました。しかし、Zieglerのfree hand法を信奉する発生学者も多くみられました。科学の進歩とともに発生学の分野も、事実の記述中心の研究から実験を主体とするものに変貌しました。それに伴いZieglerのモデルの需要は減少し、やがてひっそりとその歴史をとじました。しかし、輩出された多くのモデルは、ヒト発生学の体現としてヨーロッパやアメリカの大学で使われ続けました。それは、ヒトとは何か、どうやってつくられるのかーといった人間誰もが一度は抱く崇高な問いに対する解のひとつと言えなくもありません。

古市さんの卒論がAnat Recに掲載

古市さんの卒論がAnat Recに掲載されました。

連続組織切片の 3-D 再構成を行い、胚子期末のWillis 輪( CW )の形成を検討しました。

  • CW は胚子期末のすべての標本で閉鎖、
  • CWは単一の平面でなく、複数の階段状の平面で構成
  • 中脳と間脳の屈曲を反映してCW は尾部で急激に湾曲
  • 85%(17/20)でvariation観察
  • (anterior partのみ10例、anterior+posterior 6例、posteriorのみ1例)
  • 観察されたvariationは、胎児、新生児、成人で報告されているものと同様
  • CWのvariationが開始時期から存在することを示唆

33. Furuichi K, Ishikawa A, Uwabe C, Makishima H, Yamada S, Takakuwa T,
Variations of the circle of Willis at the end of the human embryonic period,  2018, 301, 1312-1319, doi:10.1002/ar.23794

ABSTRACT

Variations of the circle of Willis (CW) influence blood supply to the brain and adjacent structures in adults. We examined the formation of the CW in 20 human embryo samples at the end of the embryonic period using 3-D reconstructions of serial histological sections. The CW was closed in all samples, and did not form in a single plane, but was composed of multiple stair-like planes. The artery acutely curved at the caudal part of the CW, namely, at the inlet of the basilar artery and bifurcation of the P1 segment of the posterior cerebral artery (PCA), reflecting flexure of the mesencephalon and diencephalon at this stage. Variations were observed in 17 of 20 samples—only anterior parts (anterior communicating artery [Acom] and anterior cerebral artery [ACA]) in 10 samples, only posterior parts (posterior communicating artery [Pcom]) in one sample, and both anterior and posterior parts in six samples. Variations included the Acom formed as partially duplicated in three samples, duplicated in four, plexiform in three, and no channel as a result of a single azygos ACA in one. The ACA formed as duplicated in two, median ACA in two, and right hypoplasia in one. The Pcom formed in hypoplasia of either side in six samples. Variations observed in this study are similar to those observed in fetuses, neonates, and adults. The P1 segment of PCA was very large in all samples. The present observations indicate that variations in the CW are present from the initiation of CW formation.