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第61回日本先天異常学会で発表

第61回日本先天異常学会で発表しました。(2021.08.7-8, 東京, on line開催)

拡散テンソルイメージングを応用したヒト胎児の横隔膜形成過程の解析; 金橋 徹、今井宏彦、大谷浩、高桑徹也

ヒト胚子期における気管支樹のvariationの検討;藤井 瀬菜、村中太河、松林潤、山田重人、米山明男、高桑徹也

藤井さんが学会奨励賞を受賞いたしました。おめでとうございます。

受賞講演要旨

  • 【背景・目的】多くの成人肺の解剖学的研究が、区域気管支の分岐構造に関するvariationを報告している。この形態学的差異が生じる時期は明らかでない。本研究は、ヒト胚子の気管支樹の形態変化を観察し、気管支のvariationが生じる時期を検討した。
  • 【対象・方法】京都コレクション保有のカーネギーステージ(CS)15~23のヒト胚子標本計48体を対象とした。全個体の位相 CT 画像を取得し、画像処理ソフトウェア Amira を用いて気管支樹を抽出し立体像を作成した。
  • 【結果】CS15~23 において、気管と葉気管支の形態に個体差は認めなかった。葉気管支はCS15, 16にて形成されていた。左右の一次気管支芽上の対称な位置に右中葉と左上葉を形成している個体と、さらに右上葉を形成している個体を認めた。区域気管支と亜区域気管支は、CS17~19 にかけて形成が進んでおり、同一ステージの個体間にて形成の程度にばらつきが生じていた。CS20~23の気管支樹における区域気管支の形態として、左右の上葉においてそれぞれ4種類、右中葉と左右下葉ではそれぞれ2種類の計14種を同定した。
  • 【考察】観察した全個体にて、気管と葉気管支は成人の気管支樹と同様の構造を示した。この結果は、葉気管支までは個体に関わらず典型的な構造を形成することを示唆している。CS15~19の気管支樹の観察から、葉気管支は一定の順序で形成される可能性があること、区域気管支の形成速度には個体差があることが明らかになった。さらに、CS20~23で同定した区域気管支の形態は、成人の気管支においても同様の形態が報告されていた。この結果は、成人の気管支樹の形態のvariationが胚子期において決定し、生涯にわたって継続する可能性を示唆している。本研究は医の倫理委員会で承認されている。(R0316)