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脳の形成

脳神経管の形成

ステージ13から23の脳室を透明な脳実質とともに立体化した。
ステージ18以降で橋や延髄、小脳と思われる部位の発達とともに橋屈が著明に大きくなっているのがわかりました。
ステージ15の発生以降、風船のように膨らんでいた大脳が大脳基底核と思われる部位の発達とともに脳室を扇形に陥凹させていく様子が観察されました。

ヒトは高次脳機能を持つ生物であり、これは他の生物とを区別する最大の特徴と言える。そのため胚子期の脳の発生過程については多くの研究者が興味を持ってきた。ヒト脳神経の発生は複雑である8,9。脳は、CS 約8,9(受精後約17 から19 日)に神経管、体節が生じ始める。開かれた神経孔に神経分節が生じ始め、脳神経管領域が区分できるようになる。その後、CS11、12(受精後約23 から30 日)に神経管が、頭部、尾部ともに閉鎖し、体節数も約21 から29 と増加する。この頃、頭部の神経管に、頭側から順に前脳、中脳、菱脳と呼ばれる脳胞ができ始め、前脳は間脳と終脳に区分2される。CS14,15(受精後約31 から38 日)に終脳は、大きくなり左右2 つの半球と認識でき、菱脳は、後脳と髄脳に区分される。脳の各部分は、造形運動を経て発生が進んでいく。 CS17(受精後約42 から44 日)になると、終脳は間脳を覆い始め、CS19(受精後約48 から51 日)になると吻方(頭側方向)に大きくなる。CS23(受精後約56 から60 日)には終脳は間脳全体を覆い形態的にも湾曲してC の形(C-shape)がはっきりと観察されるようになる。胎児期になると、約9 週で脳半球の表面は新皮質となり、13 週までには急速に背側に大きくなり胚子期の約3 倍もの容積となる。中脳が覆われ、脳半球の実質部分である新皮質が発達し、側脳室の容積が少なくなる8,10。出生後、終脳は大脳半球、後脳は小脳に、髄脳は延髄にそれぞれ対応する。

大脳皮質の発生

ヒト大脳新皮質は成人において6層構造を成すことが知られている。この層構造の発達はCarnegie Stage (CS)14においてVentricular zone (VZ)の外側にPreplate (PP)という層が形成されることから開始する(O’Rahilly and Müller, 2006)。そしてCS21頃になるとPP内にCortical plate (CP)が形成される。CPがPPを分断することで内側にSubplate layer (SP)が形成される。つまり、大脳実質は脳室側より大きく分けてVZ, Subventricular zone (SVZ), Intermediate zone (IZ), SP, CPの5層構造を、軟膜下層などを含めるとそれ以上の層構造をとるようになる。

この後新皮質はVZから神経細胞が外側へ向けて放射状に移動し、CPが厚みを増すことで形成されていく(Rakic et al., 1974; Ohtaka-Maruyama et al., 2015)。SPはこの神経細胞の正常な移動に関与するサブプレートニューロンを保持する重要な層であり、進化の過程において新皮質と同様、哺乳類のみ持つことが知られている(Ohtaka-Maruyama et al., 2018)。またSPの欠如は統合失調症や自閉症などの発達異常に関わるとも報告されている(A. Hoerder-Suabedissen et al., 2013) 。

 

サブプレートとは

Kostovic and Rakic (1990)は8~28週の胎児の組織を観察し、SPの発生初期であるとされていた12週前後から、最後に観察されるという生後6か月までを4つの過程に分類した。最初の過程をPresubplate stageとし、体性感覚野と視覚野において観察を行った。どちらの組織においても細胞の密集したCPの下に染色性の薄い、卵円系の核を持った少数の細胞体を含む原始的なSPが見られた。SP内にはすでに軸索や樹状突起が豊富に見られた。IZとの境界は体性感覚野よりも視覚野においてよりはっきり見られた。また、14週以降の代表個体において二次元的に切片上の長さを計測することでSPの厚さ変化の検討を行った。また胚子期終期ではCS21~23のステージングに従った組織切片の詳しい観察も行われていた(O’Rahilly and Müller, 2006)。CS21でCPができることにより層構造が確認でき、CS23になると特に成人で島皮質となる領域に明白に見られるようになった。CPはVZから放射状に移動した5列以上の細胞の並びからなっていた。SPは細胞の乏しさと接線方向に伸びる神経線維を特徴とする層であった。

島皮質とは

皮質の領域の一つで成人では外側溝の奥にある

情動などの認知機能、味覚嗅覚触覚痛覚などに関与

CS23頃に側頭部に出現

 

 

 

 

 

硬膜

硬膜は、硬膜、くも膜、軟膜という三種類の膜構造に分類される髄膜の一種である[1]。硬膜はこの三層のうちで最も厚く最外層にあり、脳の中では隔壁として脳を区分したり、頭蓋骨の真下で骨膜としての役割を果たしたりしている。硬膜が形成する隔壁には四種類があり、大脳半球と小脳半球をそれぞれ区分する鎌状の大脳鎌と小脳鎌、下垂体を収納するトルコ鞍の天井部分に張る膜である鞍隔膜、そして大脳と小脳を隔てるテント状の構造物である小脳テントに分けられる[3]。硬膜の発生過程は様々な説が唱えられてきたが、O’Rahillyの提唱した説では、その起源は血管の周囲に形成されるMeninx primitivaと呼ばれる初期の髄膜にあるといわれている[4]。まず胎生四週ごろに脳(Brain)と血管(Blood vessel)の間に軟膜(Pia mater)が形成され、それに続いてMeninx primitivaの外側に骨形成層(Skeletogenous layer)という将来骨になる層が形成される。静脈洞(Venous sinus)はこの骨形成層の中に作られる。硬膜の前身となる層は硬膜境界層(Dural limiting layer)と呼ばれるが、これは骨形成層と軟膜の形成後にその間に出現する。そして最終的に軟膜と硬膜境界層の間がくも膜下腔(subarachnoid space)となり、骨形成層と硬膜境界層の間が硬膜(Dura mater)に変化していく(図1)[2]。