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聴覚器の形成

内耳・中耳・外耳の形態と相互関係

1)内耳

内耳は卵形嚢、球形嚢、蝸牛管、半規管から構成されている.内耳はCS10に菱脳領域の両側にあらわれる耳板に由来する.1,3,17 これは体表外胚葉が肥厚したものである.1 耳板はCS11に徐々に嵌入して耳窩を形成した後、CS12に閉じて中空の耳胞となる.1,3,17 CS15に耳胞の背内側部の領域が伸長をはじめて内リンパ付属器を形成し、残りの部分が卵形嚢と球形嚢に分化する.1,3 CS16に球形嚢の腹側の端が伸長し、CS18に巻き込みを始めることで蝸牛管が、CS17に卵形嚢から憩室が伸びだし分化していくことで3つの半規管がそれぞれ形成されていく.1,2,3,17 また、耳胞は第9週に軟骨化を開始して、耳嚢を形成する.1

2)中耳

中耳は耳小骨、鼓室、耳管から構成されている.耳小骨はCS18~CS19に第1、2咽頭弓の間葉内に凝集する軟骨性の前駆体に由来する.3,17 耳小骨の発生には2種の起源がある.8 比較解剖学での説では、ツチ骨とキヌタ骨は第1咽頭弓の中胚葉から生じ、アブミ骨は第2咽頭弓の中胚葉からなるとされている8が、ヒト遺伝疾患の研究をもとにした説では、ツチ骨の頭部とキヌタ骨の体部は第1咽頭弓から生じ、残りのツチ骨、キヌタ骨とアブミ骨は第2咽頭弓由来であるとされている.8,9,10CS18においてアブミ骨原基が発生、CS19にツチ骨、キヌタ骨原基が発生し、CS20~23にかけて3つの耳小骨のそれぞれの形態が形成されていく。

CS23までにツチ骨頭・骨柄、キヌタ骨短脚・長脚、アブミ骨頭・輪状構造が形成される(3)。また耳小骨の骨化は胎生5ヶ月で認められ、6ヶ月末には3耳小骨ともほぼ完了する鼓室と耳管は第1咽頭嚢が伸長して耳管鼓室陥凹が分化することで形成されることがわかっているが、詳しい発生過程については諸説あり、明確なことは分かっていない.1,17

3)外耳

外耳は外耳道と耳介から構成されている.外耳道は第1咽頭溝に由来し、CS18にこの溝が深くなることによって発生する.1,2,3 この管の深部では外胚葉が増殖して耳道栓を形成するため、外耳道の内側端を閉鎖する.1,3 この栓はのちに空洞化し最終的な外耳道が形成されるが、最終的な長さに到達するのは9歳から10歳のころである.1 耳介は、CS17に第1、2咽頭弓に発生する6つの耳介小丘から発生する.1,2,3 耳介小丘はCS18からCS21にかけて拡大、分化、癒合をし、最終的な耳介の形を形成していく.1,2,3,7 また、顔面の発生に伴って頸部側面から外側かつ頭側へ移動する.1,3,19

 

4)形態学的な聴覚器発生

2000年にヒト胚子の組織切片を用いて内耳の立体像を作成したWolfgangら12によると、CS16で膜迷路のうち、半規管になる部分、鼓室、蝸牛管になる部分といった基本的な構造の区別が明確になり、CS19でそれらの形態構造が完全に区別できるようになる.そのころには半規管は3つすべて完成し、蝸牛管は半回転している状態であることが観察されている.このことから、CS17~CS18の間に、膜迷路は急速に発達すると考えられた.

その後、2007年に安田ら13はWolfgangら12が作成していなかったCS17~CS18とCS20~CS22の内耳について立体像を作成し、観察を行った.それによると、前半規管と後半規管はCS17に前庭嚢の頭蓋側の壁が側面に押されることで発達が始まり、側半規管はCS18前半に前庭嚢の低部の壁が同様に押されることで発達が始まる.輪を形成した半規管はCS22にかけて大きく薄くなっていくことで発達することが報告されている.卵形嚢と球形嚢はCS20でそれぞれ確認された.蝸牛管はCS16で観察された原基が、CS18前半にかけては将来の回転方向とは反対方向に広がり、CS18後半に将来の回転方向に広がり始める.蝸牛管の回転はCS19後半に始まり、CS22では1回転することが観察されている.