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胎児超音波検査 (産婦人科領域のエコー) について

14w3d

超音波検査は生体への侵襲の低さが最大の利点であり,母児に対して行う「胎児超音波検査(産科エコー)」は、画像診断法として 広く普及している検査法です。妊娠中に行う胎児超音波検査の目的は,胎児の発育・形 態・機能,さらに胎盤・羊水・臍帯を評価することにより,胎児自身の状態および胎児が 置かれている環境を把握することにあります。超音波診断装置の性能は年々向上し、最近では以前とは比べ物にならないほど胎児の詳細な情報がわかるようになってきました。

一方、胎児の病気の有無を調べる目的でなくても、超音波検査を行うと、偶然、胎児の重大な病気が見つかってしまうこともあるので、注意が必要です。偶然異常が見つかった場合、妊婦や家族に、検査結果をどう解釈すべきかや、どのような対応が選択できるのかなどを十分に伝える必要があるからです。

超音波検査は高度な専門技術、知識が必要とされ、専門の資格を有する「超音波検査士」が行うことが多くなっています。「超音波検査士」は超音波検査に習熟した医療従事者が一定の条件を満たした場合に得られる日本超音波医学会の認定資格です。胎児超音波検査を含む産婦人科領域は、主要な超音波検査領域の一つです。

私達の研究室では、胎児超音波検査のトレーニングを受けつつ、胚子、胎児研究を進められるよう体制を整えています。

金橋君の描いた図がDevelopmental Dynamicsの表紙に採用

Developmental Dynamics 245
Developmental Dynamics 245巻, 2号

金橋君の描いた図がDevelopmental Dynamicsの表紙に採用されました。

岸本先生(先天異常標本解析センター)の研究の一部として、Amiraを用いてヒト胎児の咽頭口蓋領域の解析の補助を金橋くん(修士)が行いました。

Kishimoto H, Yamada S, Kanahashi T, Yoneyama A, Imai H, Matsuda T, Takeda T, Kawai K, Three-dimensional observation of palatal muscles in the human embryo and fetus: development of levator veli palatini and clinical importance of the lesser palatine nerve, Developmental Dynamics 245: 123–131, 2016,  DOI: 10.1002/dvdy.24382, DOI: 10.1002/dvdy.24364

植田さんの卒業研究が Anat Recに掲載

植田さんの卒業研究が、Anatomical Recに受諾されました。

ヒト胚子期の中腸の発生過程でみられる、腸の回転と臍帯内への生理的ヘルニアについての定量的な研究です。

腸ループ
  • CS14-23の中腸を3次元再構築し検討。
    • CS16までに十二指腸、結腸直腸は正中から偏位
    • CS17以降臍帯ヘルニア確認
    • CS18;ヘアピン状で、中腸間膜管動脈(SMA)がその直線部を並走、回盲部はSMAの左側
    • CS19以降;小腸の急速な伸長、複雑な走行、回転はほぼ90度となり、尾側移動
    • CS20まで;腸ループの立ち上がり部は右頭側から尾側へ移動、SMAに対して180度回転
    • 腸ループの着地部はSMAの左尾側で著変なし
  • 腸ループの動きは分化発生(differential growth)による受動的なものと考えられる

19. Ueda Y, Yamada S, Uwabe C, Kose K, Takakuwa T, Intestinal rotation and physiological umbilical herniation during the embryonic period, Anatomical Record 299, 197-206, 2016, DOI: 10.1002/ar.23296

ABSTRACT

Drastic changes occur during the formation of the intestinal loop (IL), including elongation, physiological umbilical herniation (PUH), and midgut rotation. Fifty-four sets of magnetic resonance images of embryos between Carnegie stage (CS) 14 and CS 23 were used to reconstruct embryonic digestive tract in three dimensions in the Amira program. Elongation, PUH, and rotation were quantified in relation to the proximal part of the superior mesenteric artery (SMA), designated as the origin. Up to CS 16, IL rotation was initially observed as a slight deviation of the duodenum and colorectum from the median plane. The PUH was noticeable after CS 17. At CS 18, the IL showed a hairpin-like structure, with the SMA running parallel to the straight part and the cecum located to the left. After CS 19, the IL began to form a complex structure as a result of the rapid growth of the small intestinal portion. By CS 20, the IL starting point had moved from the right cranial region to an area caudal to the origin, though elongation of the duodenum was not conspicuous—this was a change of almost 180° in position. The end of the IL remained in roughly the same place, to the left of and caudal to the origin. Notably, the IL rotated around the origin only during earlier stages and gradually moved away, running transversely after CS 19. The movements of the IL may be explained as the result of differential growth, suggesting that IL rotation is passive.

2015年度; 修士論文の概要(大坂)

ヒト器官形成期における視覚器の発達についての3次元的解析

眼球

【背景】視覚器の発生はCarnegie Stage(CS) 10の視溝形成から始まり、生後数ヶ月まで発達が続く。器官形成期における組織学的な研究はこれまで多くの報告があるが、3次元的な検討は十分には行われていない。

【対象と方法】京都大学大学院医学研究科附属先天異常標本解析センター所有のヒト胚子、胎児標本の立体情報計65例(位相CTdata;26例、MRIdata;39例)を対象とした。用いた標本は全て明らかな外表奇形、視覚器の異常を伴っておらず、胚子標本はCS16~CS23、胎児標本は胎児期初期(CRL34㎜~152㎜)に分類される。画像情報を基に視覚器の立体像を作製し、1)頭部における水晶体や網膜(強膜)、視神経などの立体的位置関係の変化の検討、2)外眼筋の形成過程の検討を行った。

【結果】1)視覚器の立体的位置関係の変化: 水晶体は外側から腹側、頭側から尾側へ移動した。頭部横径に対する水晶体中心間距離はCS16~C21では1~1.2だったが成長に伴い減少し、CS16~CRL30㎜の胎児期初期までは変化が大きく、その後0.4~0.5に収束した。頭尾方向の移動はCS17~CS18 にかけて大きな変化がみられた。左右の視神経がなす角度は、CS16~17では160°~180°だったが徐々に小さくなりCRL30㎜の胎児期以降では60°~80°に収束した。いずれの変化もCRL30㎜以降の胎児期初期で収束し成人の値と近くなることから、この時期から頭部における視覚器の位置関係は成人に近いことを示した。

2)外眼筋の形成過程: 胎児期初期では成人と同様、4本の直筋(上直、下直、内直、外直)と上斜筋は視神経管周囲の骨膜(総腱輪)から、下斜筋は眼窩の前縁内側骨膜から起始していた。全ての外眼筋が眼球表面の強膜に停止しており、発達に大きな左右差はみられなかった。体積は外直筋、長さは上斜筋、平均断面積は上直筋が最も増加率が大きかった。上斜筋の滑車部分がなす角度は、CS22~23では直角に近かったが、徐々に小さくなりCRL50㎜以降の胎児期では40°~50°に収束し成人と近い値を示した。

【結論】胚子期、胎児期初期のいずれも正常と判定された個体の位相CTdataやMRIdataを用いて視覚器の立体像を作成し、成長に伴う視覚器の立体的位置関係の変化や外眼筋の成長を定量的に明らかにした。異常個体の立体像も同様に作成することで、視覚器の発生の異常についても解析できることが期待できる。また、さらに解像度の高い撮像方法が可能となることで、今回解析できなかったCS16以降の個体でも詳細な解析が行われることが期待できる。

29. Osaka M, Ishikawa A, Yamada S, Uwabe C, Imai H, Matsuda T, Yoneyama A, Takeda T, Takakuwa T, Positional changes of the ocular organs during craniofacial development, Anat Rec (Hoboken) 300(12), 2107–2114, 2017 DOI: 10.1002/ar.23588(概要)

卒業研究発表会

4回生の卒業研究発表会が行われました。

本年度は、理工系のグループに混じっての発表になりました。

ヒト胚子期~胎児期における側頭骨錐体部の内部構造の三次元的観察 石川 葵
ヒト胚子期~胎児期における腎臓形成過程の観察 石山 華
胚子期~胎児期初期のヒト骨盤形成過程の三次元的観察 奥村 美咲
胎児期初期の脳実質・脳室・脈絡叢の高精細MR画像を用いた三次元的観察 山中 美希(石津研)
生理的臍帯ヘルニアの還納過程及び盲腸回盲部の腹腔内固定について 八田 真之介