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白石くんの博士審査会が行われました。

白石直樹くんの博士審査会が行われました。

(11月27日18時 高井ホール於)

Morphology and morphometry of the human embryonic brain: A three-dimensional analysis

(ヒト胚子期における脳の三次元形態計測学的解析)

(NeuroImage, 2015, 115, 96-103、掲載済み)

ヒトの発生時期のうち、組織と器官を急速に形成する器官形成期は先天異常の発生の可能性が高い時期であり解析に重要な時期である。京都大学大学院医学研究科附属先天異常標本解析センターが保有する外見上、傷や先天異常がないヒト胚子群から、2.35TのMR顕微鏡で撮像されたCarnegie Stage(CS)13~23のヒト胚子立体画像を用いて、脳実質と脳室の形態形成について立体化像の形態変化の詳細な観察と定量学的な検討を加えた。脳実質の厚みの変化を色彩表示する方法、及び内外から大脳壁の厚さ分を削り、残った部分を肥厚部として描出するという方法を用いて可視化した。脳実質の体積はCS13からCS23間に164.4倍に形態変化を伴いながら著しく増大した。前脳、中脳、菱脳の体積もそれぞれ増大した。小脳はCS20に初めて観察され、菱脳に対する小脳の体積比はCS20の約7.2%から、CS23では12.8%と大きく増大していた。胚子体積に対する脳実質体積比はCS15からCS23の期間で11.6〜15.5%と大きな変化はなかった。前脳部の肥厚部はCS16から見られ、その解剖学的位置は大脳基底核、視床、内包と合致した。CS17以降には神経核が発達し、特に前脳部の大脳基底核付近、菱脳部の基板や小脳部が不均一に肥厚していくことがわかった。CS20になると前脳部や菱脳部で厚さの不均一性が目立ち、CS23では著明であった。これらの不均一な肥厚が、胚子期における脳の複雑な屈折や進展に影響を及ぼしている可能性がある。今回、提示した手法は神経核の発達を観察する上で非常に優れた方法であり、胎児期の脳発達の観察、解析に応用可能と考えられる。以上の研究は器官形成期のヒト脳の発生の解明に貢献し人体発生学、脳発生学や胎児診断に寄与するところが多い。